飛んではやぶさ君の雑記ブログ

鳥が高い空を飛ぶように、魚が自由に泳ぐように、自分らしい人生を描くためにビジネスマインドやスキルアップ、趣味(旅行や写真)について書いています。

【マネジメントに悩むマネージャー必見】心理的安全性の確保のために!誰かの散歩道は、Aさんのエベレスト登山であることを知ろう

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こんにちは、飛んではやぶさ君(@flyingfalconkun)です。

今回も部下を持つマネージャーの方に向けて書かせていただきます。

 

【マネジメントに悩むマネージャー必見】
心理的安全性の確保のために!
誰かの散歩道は、Aさんのエベレスト登山であることを知ろう

  1. 誰かの散歩道はAさんのエベレスト登山であること
  2. 役職モチベーションを当然と思う元上司
  3. 自分が持っているものがどういうものかを知らなければならない
  4. ゴールが同じでもアプローチは無限にある
  5. マネージャーは心理的安全性を提供できる存在
  6. 千里の道も一歩から

 

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1.誰かの散歩道はAさんのエベレスト登山であること

以前、部下を知るためには出生から知ろうという話をさせていただきました。なぜ知るのか、それは仕事を始めてからの数年の状況だけではその人は計り知れず、生まれてから今までを知らなければ、考え方や姿勢は読めないからです。

 

「育ってきた環境が違うから価値観はイナメナイ」

 

SMAPのセロリは個人的に好きなのですが、まさにその通り(SMAPのセロリは恋愛の歌ではありますが)。性格もこれまで経験したことも全員異なるメンバーで社会は成り立っています。得意なことも不得意なことも好きも嫌いも違います。運動が得意な人もいれば、美術が得意な人もいますし、人との距離感を一気に詰めることができる人もいればなかなか詰められず悩む人もいます。

 

マネージャーとして一番やってはいけないことは、これらを知らず、受け入れず、自分の価値観を押し付けることです。自分ができるので、相手もできると思い込むことです。つまり、「誰かの散歩道はAさんのエベレスト登山であること」をまずは認識しなければなりません。

 

「なぜこんなことができないのか」
「●●はすぐできたぞ」

 

僕の経験則では、字ずらでは「全員はそれぞれ違うもの」という言葉は認識しているものの、それを言動に紐づけられていない人が多くいる印象です。上記のような言葉を発している方もおそらくは人それぞれ違うものというのは認識してはいると思います。

 

「なぜ部下に刺さらないのか」
「部下が考え方を改めてくれない」

 

もちろん部下にも問題はあるケースはあると思いますが、ただ僕は、マネージャーが自分自身を知らなすぎることが原因だと捉えています。

 

2.役職モチベーションを当然と思う元上司

自分の話をします。

 

過去の上司はやりたいことはあるべくして然り、役職は当然ほしいものだろうという野心家でした。僕は当時20代中盤のころに「お前はどうなりたいんだ、役職はほしくないのか」と聞かれ、それまで考えたことないことを問われ戸惑ったことを覚えています。その後、マネージャーに上がりたいかどうかを問われるたびに、自分では本心から納得していないものの「なりたいです」と言っていました。

 

その後、28歳でタイミングも良く、部署拡大のタイミングで課長にさせていただいたのですが、正直課長になれた嬉しさよりもプレッシャーの方が大きく、課長になってやりたいことを見つけられずにいました(その後2年半ほどキャリア迷子になって辛い時期を経験することになります)。上司には何のために仕事をしているのか、自分自身のガソリンが何なのかの相談をしていたものの、上司からするとそれはあって当然のモチベーション。あまり的確なアドバイスをいただいた記憶はありませんでした。

 

この体験を通じて思ったことは、彼の中で当たり前にある「人は役職につきたいものである」「やりたいことはあって然るべき」は僕の価値観やモチベーションを形成するガソリンにはなり得なかったということです。

 

結果、僕は自ら「市場にインパクトのある商材を生み出し、会社をトランスフォームさせ、市場を席巻する」という結論を導き出し、なんとかキャリア迷子から脱することができました。上司が「誰かの散歩道はAさんのエベレスト登山であること」の考え方を知っていたかどうかは不明ですが、当時、僕が一番渇望していた答えに対してアドバイスをしてくれることはありませんでした。彼の中で当たり前にある仕事に対しての目標や姿勢に悩む僕のことがピンと来なかったんだと思います(不満に聞こえるかもしれませんが、その当時の上司にはそれ以上に指南いただき、助けていただいたので感謝しかありません)。

 

3.自分が持っているものがどういうものかを知らなければならない

繰り返しになりますが、「育ってきた環境が違うから価値観はイナメナイ」なので、

 

自分が持っていて当然と思うもの(例;働くモチベーション 働くなら役職者を目指したいなど)
他人からすると長所に見えるもの(例;相手の懐に入るのが上手いなど)

 

これらはマネージャー自身ががちゃんと把握していなければ、他人の、ここでいう部下の持っているもの、持っていないものが何なのかを把握してあげることは難しいと僕は考えています。自分を構成している要素を因数分解して、その要素を知ることで初めて、相手の構成要素を知ることができ、何が足りないのかがわかるものだと思っています。

 

自分が他人よりも秀でている要素を持っているのであれば、それを「センス」という言葉で片付けず、1から言語化し、そのノウハウを伝えてあげる。苦手意識を持っていた要素を育ててきた自負があるのであれば、そのときに思ったことや経験したこと、相手が経験してきた言葉や体験に乗せて話してあげる。これができて初めて、部下は自分事と捉え、響くものだと思っています。

 

4.ゴールが同じでもアプローチは無限にある

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もう一歩踏み込むと、マネージャーと同じ道を辿らせる必要はありません。お伝えした通り、人によって構成要素は異なるので能力値もそれぞれです。コミュニケーションに長けている人もいれば、データ分析に長けている人もいます。

 

仮に、部下がクライアントからの質問にうまく回答ができないと悩んでいたとします。また、その部下は自分が機転が利かず咄嗟のカウンタートークが出てこないことに課題があると認識していたとします。ダメな上司は、ここで部下を「なぜできない」と否定するか、もしくは自分のやり方でやれと言う、終いには「お前の頭の使い方が悪い」と全否定する人もいるかもしれません。

 

ただその部下が仮に「数字やデータを見ることが得意」ということがわかっていたら、僕であれば


「答えられないのは相手からの質問が自分の想定外だから。●●がそれを悔しいと思うなら、なるべく想定外を想定内にできるように、データや数字を見て事前準備をしっかりしろ。人の何倍も準備に当てろ。そうすればクイックに回答できるようになる」と伝えます。

 

あくまで例ですがお伝えしたいこととしては、「相手の質問に返答する」というゴールに対して、アプローチは無限にあるということです。人によっては天才的な脳みそを持ち、どんな球でもその場で打ち返せる人もいるでしょう。ただそんな人ばかりではないので、自分なりのやり方で同じゴールに向かうしかありません。得意な人よりも2倍の距離があるアプローチしかできないかもしれませんが、であればその区間を得意の人よりも2倍のスピードで駆け抜ければ済む話です。

 

同じアプローチのみを強要するのは、「全員はそれぞれ違うもの」という意識と言動が一致していない証拠です。その個人にあったアプローチのアドバイスができて初めて「全員はそれぞれ違うもの」が体現できると思っています。

 

5.マネージャーは心理的安全性を提供できる存在

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Google社が提唱する、心理的安全性を確保できるチームの生産性は向上するという話は有名だと思います。

 

Googleによれば、心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動をとったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味する。言い換えれば、「チームのなかでミスをしても、それを理由に非難されることはない」と思えるチーム(=心理的安全性の高いチーム)の方が、チーム全体として高い能力を発揮するというのだ。

チームの心理的安全性  Google
なぜGoogleは本音で語る文化を重視するのか(RMS記事引用)

https://www.recruit-ms.co.jp/issue/case/0000000766/

 


つまり心理的安全性のあるチームとは、部下に「聞いていいんだ」「失敗してもいいんだ」「本音を話していいんだ」と思ってもらえるチームビルディングができている組織。それは紛れもなくマネージャーの手腕で決まります。

 

本音で話せるということは、自分の弱みも否定されないという安心感があることが前提になります。先ほどの決めつける上司には、部下はおそらく本音を語らないでしょう。否定されてしまう、言ってもわからないと判断をすると、部下は上司に対してどんどん委縮し心を閉ざします。それでは良いパフォーマンスは発揮できなくなってしまいます。

 

心理的安全性を確保するための第一歩は、間違いなく「誰かの散歩道はAさんのエベレスト登山であること」を知り、部下が本音を話せる環境と関係性を作ることから始まります。

 

6.千里の道も一歩から

どうしても普段の業務に追われていると、直接的な短期的なコミュニケーションに走りがちです。部下からのレスポンスも即効性を求めてしまいます。

 

もしあなたが部下へのマネジメントやコミュニケーションに悩んでいるのであれば、今までの自分が本当に「全員それぞれ違うもの」を言動が一致するレベルで意識し、向き合えているかを考えてみてください。アプローチを自分のやり方ばかりを伝えていないでしょうか。もしそうであれば、「全員はそれぞれ違うもの」という意識と言動が一致していないのかもしれません。

 

また、部下と話をして、足りているものと足りていないものが見えてきますでしょうか。要素として見えてこないのであれば、それはまずは自分自身と向き合わなければならないサインかもしれません。

 

「誰かの散歩道は、Aさんのエベレスト登山であること」なのです。

 

この記事があなたのマネジメントスキル向上に繋がれば幸いです。

 

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【カメラ初心者向け】ボケた写真も自由自在!Sony α7ⅱで撮るマニュアル撮影の方法

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こんにちは、飛んではやぶさ君です。

 

今回は僕の趣味の一つである一眼レフカメラの写真の撮り方について書かせていただきます。

 

目次

  1. マニュアル撮影は楽しい
  2. シャッタースピード/絞り/ISO感度
  3. 場面で使い分けるシャッタースピード(SS)
  4. 表現がガラッと変わる絞り(F値
  5. 明るさの補填と表現を変えるISO感度
  6. 「明るさ(適正露出)」を基準に撮ってみる
  7. シャッターを押した数だけ上手くなる

 

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1.マニュアル撮影は楽しい

僕は友人にマニュアル撮影の楽しさを教えてもらいました。過去は、ミラーレスカメラのオート設定でも十分に楽しめていたのですが、マニュアル撮影の方法を知り、自分の意図する写真を撮れるようになったことで、さらに写真撮影を楽しめるようになりました。

 

  • 一眼レフを買ったけど、まだ使い勝手がわからない
  • オート撮影のみでマニュアル撮影ってよくわからない

 

そんな方のマニュアル撮影に挑戦するキッカケになればと思い書かせていただきます。僕はSony α7ⅱを愛用していますが、基本的な考え方はカメラのメーカーや種類を問わず、使える知識なのでぜひ参考にしてみてください。

※僕は普段、「M:マニュアル露出」を使って撮影していますので、今回はそのモードをベースにご説明します。

 

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2.シャッタースピード(SS)/絞り(F値)/ISO感度

今回ご紹介する設定は、以下3つとなります。

 

シャッタースピード(SS)は文字通り、シャッターが開いて閉じるまでのスピードを指します。絞り(F値)はシャッターの開く穴の大きさです。ISO感度とはデジタルカメラが光をとらえる能力を表す値です。それぞれの設定を変えることで、写真の表現を変えたり、光量の影響を受けます。これらの値を手動で設定することで意図する写真を撮ることができます。次トピック以降で一つひとつの設定について補足していきます。

 

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3.場面で使い分けるシャッタースピード(SS)

シャッタースピード(SS)は、シャッターが開いて閉じるまでのスピードです。そのスピードが早ければ早いほど撮影対象の一瞬を切り取りやすくなります。一方で、カメラはシャッターの開いている間に光を取り込むので、シャッターの開いている時間が短かければ短い分ほど写真は暗くなります。

 

逆に、シャッタースピード(SS)を長めに設定すると、より多くの光を取り込むため写真は明るくなります。ただし、シャッターをより長い時間開けておくことになるので被写体が動いたり、手ブレなどで写真がブレやすくなってしまいます。

 

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オートモードで夜景を撮影したときに、よく見ると被写体がブレてしまっているなんてことありますよね。その原因がまさにシャッタースピード(SS)です。オートモードでは光量が少ないと判断して、適正な露出を確保するためにシャッターを長めに開く設定になることが多いのです。


では、それぞれの設定がどんなときに使い分けたらいいのかをお伝えします。

 

シャッタースピード(SS) 速い 】
  • スポーツ
  • 動物
  • 動くもの

 

シャッタースピード(SS) 遅い 】
  • 動かない物(料理など)
  • 夜景

※どちらも三脚は必須


撮影対象が動いているスポーツやペットの猫、子どもなどを撮る場合には、しっかりとその姿を捉えたいですよね。その場合は、シャッタースピード(SS)を速くに設定することで、被写体をブラさず捉えることができます。

 

一方で、光量の少ない夜景や静物撮りで光を補填したいという際は、シャッタースピード(SS)を遅く設定することが有効です。また、動いているものを流れで表現したい場合にも活用できます。以下写真は、シャッタースピード(SS)の設定によって滝の流れの見え方が変わる例を挙げています。

 

シャッタースピード(SS) 速い>

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シャッタースピード(SS) 遅い>

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ただ、シャッタースピード(SS)を遅くすると、手ブレしてしまうリスクも増えます。夜景など、光量がたくさん必要な撮影の場合には、三脚など、カメラを固定できるツールを用意しましょう。

 

4.表現がガラッと変わる絞り(F値

絞り(F値)はシャッターの開く穴の大きさです。絞りで変わる表現は一言で言うと「ボケる」です。一眼レフカメラを買ったなら、自由自在に写真を暈すことができたらカッコいいですよね。マニュアル撮影の醍醐味の一つです。

 

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絞り(F値)は、低ければ低いほど焦点範囲は狭くなり、ボケます。逆に高ければ高いほど焦点範囲が広がりボケません。どんなシーンで使い分けるかは以下をご覧ください。

 

【絞り(F値) 低い ボケる 】
  • 写真で伝えたいメインを明確にしたい
  • 人物
  • 料理の温もりや、花の柔らかさを伝えたい
【絞り(F値) 高い ボケない 】
  • 全部にピントが合っていてほしい!全部が主役
  • 会席料理
  • 集合写真
  • 風景

 

<絞り(F値) 低い ボケる>

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<絞り(F値) 高い ボケない>

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同時に露出については、低ければ明るく、高ければ暗くなります。後ほど纏めますので話を続けます。

 

5.明るさの補填と表現を変えるISO感度

ISO感度とはデジタルカメラが光をとらえる能力を表す値です。詳しくはwikipediaなどを見ていただければと思うので、ここでは概念だけお伝えします。ISO感度は、以下2点にて意識して使うことを覚えておいてください。

 

  • 適正露出を補うために調整する
  • 写真の滑らかさ、粗さを表現したい場合に調整する

 

適正露出を補うことについては次のトピックにてお話をさせていただきます。

 

ISO感度は、値が低いほど、滑らかな表現になり、値が高ければ写真に粗さを表現することができます。シーンの使い分けは以下です。

 

ISO感度 低い 滑らか 】
  • 屋外の撮影や、明るいシーンでの撮影
  • 人物の肌や、陶器の滑らかさなどを伝えたい
ISO感度 高い 粗い 】
  • 屋内の撮影や、夜など、暗いシーンでの撮影
  • 夜のダンスフロアで踊る人をブレずに撮りたい
  • バーのような暗いシーンでブレずに撮りたい
  • あえて画質を粗くして、ザラ付き感を出したい

※基本的にはISO感度の値は低い方がいいです

 

6.「明るさ(適正露出)」を基準に撮ってみる

ここまででシャッタースピード(SS)、絞り(F値)、ISO感度の設定の特徴とシーン別の使い分けについてご紹介してきましたが、それぞれの設定の具体的な数値を入れて纏めると以下のようになります。

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それぞれの特徴やシーンを考えて設定すると、写真の明るさに影響を与えます。また、撮影場所によっても影響を受けます。昼間の屋外であれば、太陽光によって露出は十分に担保され明るい写真が撮りやすくなりますし、屋内の撮影になると途端に光が足りなくなって暗い写真になってしまいます。

 

表現もシーンも明るさも気にしないといけなくて大変、と思うかもしれません。確かに慣れるまでは大変ですが、撮り方として基準となる標準設定を決めて、そこからシーンや撮りたい設定を組んでいくやり方であれば、比較的入りやすいと思います。

 

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シャッタースピード(SS)を1/60、絞り(F値)を5.6、ISO感度を400にて設定します。その時点の画面上の「露出補正」の値を確認しましょう。

 

この値がプラスの場合(+0.5、+2.0など)、光量が十分にあり明るい写真を撮ることができます。屋外で晴天の場合などはこのような状態になります。その状況で、風景など広く景色を撮りたい場合には、絞り(F値)ではなく、シャッタースピード(SS)を1/60よりも速くして光量を調整します。「露出補正」が「0」になったらその設定で撮影してみましょう。

 

また、もしマイナスの場合(-0.3、-1.0など)、十分な光量がないので暗い写真になってしまいます。屋内や夜間などはこのような状態になりがちです。例えば、その中で人物にフォーカスを当て、まわりを暈したい場合には、絞り(F値)を5.6よりも低く設定しましょう。そうすることで「露出補正」を「0」に近づけることができます。

 

先ほど、ISO感度は「適正露出を補うために調整する」と紹介しましたが、シャッタースピード(SS)と絞り(F値)で「露出補正」を調整してもどうしてもマイナスになってしまう場合には、ISO感度の出番です。高く設定することで、「0」に近づけましょう。

 

ただし、あまりISO感度を高くし過ぎてしまうと、写真が荒くなってしまうので800~1000程度に押さえることをおススメします。

 

このように「明るさ(適正露出)」を基準に撮ってみるというやり方がマニュアル撮影の導入としてはオススメです。暈した写真を撮りたいなど写真の表現を変えたい場合にも、絞り(F値)を低くしたうえで、ほかの設定で光量を調整して、適正露出に調整すればいいのです。

 

設定が分からなくなってしまった場合には、また標準設定まで戻したうえで設定を調整していきましょう。

 

7.シャッターを押した数だけ上手くなる

この記事を通して難しいなという印象かもしれません。

 

ただ、安心してください。最初からマニュアル撮影を上手くできる人はいません。僕も最初はまったくチンプンカンプンでした。ただ、「暈した写真を撮りたい」「思う通りの写真を撮りたい」という一心でシャッターを押して練習をして、反復練習をして慣れていきました。

 

昔のカメラはフィルムカメラでした。シャッターを押すたびにフィルムは消費され、それなりのコストがかかりました。現在は技術も進み、デジタルカメラが主流となり、幸いなことにいくらシャッターを押してもコストはかかりません。練習し放題なのです。

 

何千回、何万回シャッターを押しましょう。ファインダーを覗き、いろいろな設定を楽しみながら撮りましょう。そうすることで、マニュアル撮影は体得できますし、何よりも写真撮影がより一層楽しくなります。

 

マニュアル撮影のある生活は、今からの自分自身の投資次第ですぐにでも訪れます。この記事があなたのマニュアル撮影生活スタートのキッカケになれば幸いです。

 

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【20代のためのスキルアップ講座】信頼関係を獲得する5つの法則!また一緒に仕事したいと思わせるためのコミュニケーションとは

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今回も引き続きコミュニケーションの続編として、「信頼関係を獲得する5つの法則!また一緒に仕事したいと思わせるためのコミュニケーションとは」について書かせていただきます。

信頼関係を獲得する5つの法則!

また一緒に仕事したいと思わせるためのコミュニケーションとは

  • 加点ポイントを獲得・蓄積する
  • 加点ポイントの獲得の法則とは
  L ①お願い事(依頼・タスク)を分類する
  L ②相手とゴールを明確に決める
  L ③アウトプットの形式を決める
  L ④納期を調整する
  L ⑤「スピード(早く)」「正確に」「見栄え良く」で相手の期待を超える
  • 仕事をしやすいと思われることが信頼関係獲得に

 

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加点ポイントを獲得・蓄積する

また一緒に働きたいと思えるかどうかは加点ポイントの数に比例します。「信頼」のポイントと言ってもいいかもしれません。それは主に以下で貯まります。

  • 相手が考えられないような知識や気づきを与える
  • 依頼事項の納期が早い、正確など仕事がしやすい


これらをすることで相手に自分の加点ポイントが貯まっていきます。貯まっていくと自然に下記のようなことが起こります。

  • とりあえず○○さんに相談する
  • 何かあっても助けてくれる(気がするという期待)
  • ○○さんと仕事をするといいらしいよ(評判が伝播する)


加点ポイントが蓄積することで信頼関係に変わります。ただ、これは目に見えるものではありません。また、加点があれば減点もあります。この記事では以下と定義します。


加点ポイント…

クライアントや社内メンバー(営業など)にいい仕事をすると印象付け、また一緒に仕事したいと思わせることができる信頼ポイント。

減点ポイント…

ネガティブなイメージを相手に与えます。 多くの人が不足感を感じ、最悪の場合、担当変更などトラブルに発展する可能性があります。


ではどのようにすればこの加点ポイントの蓄積ができるのか、存在が認識できるのかをお伝えします。

加点ポイントの獲得の法則とは

加点ポイントは一朝一夕で獲得できるものではありません。日々の仕事の中で一つずつ積み上げるものです。僕が考えている獲得の法則は対クライアント、社内、外注先など、ある程度汎用性のある考え方になっています。以下の流れがその方程式です。

①お願い事(依頼・タスク)を分類する
②相手とゴールを明確に決める
③アウトプットの形式を決める
④納期を調整する
⑤「スピード(早く)」「正確に」「見栄え良く」で相手の期待を超える

 

①お願い事(依頼・タスク)を分類する

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お願い事(依頼・タスク)を分類するとは、具体的に以下の事象に分ける作業です。

 

 ⑴明確なゴール(TODO)が決まっている  × 急ぎ

 ⑵明確なゴール(TODO)が決まっている  × 急ぎでない

 ⑶明確なゴール(TODO)が決まっていない × 急ぎでない

 ⑷明確なゴール(TODO)が決まっていない × 急ぎ

世の中の多くの課題や悩みは、⑶⑷に分類されると思っています。明確な解決の糸口が見つかっていない状態です。

  • (クライアント→営業)「より優秀な人材を採用したい」
  • (営業→社内商品担当)「クライアントの◯◯という悩みを解決したい」
  • (課長→部長)「案件管理で抜け漏れが起こることが多い」


さらに納期が「急ぎ」「急ぎでない」の2つに分かれます。依頼の量としては「急ぎ」が圧倒的に多いと思います。よりわかりやすいように、(営業→社内商品担当)「クライアントへの提案において適する事例を探してほしい」を例に以下補足していきます。

 

②相手とゴールを明確に決める

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業務やタスクの多くは、課題に対して具体的な策を考えることから始めます。あなたが相談相手やタスクの担当者だった場合、具体的なゴール案を提示できるかがキーです。しっかりと自分の意見として具体的に何をすべきかを伝え、先ほどのマトリクスの⑶⑷を⑴⑵にします。

今回の例で言うと、適切な過去事例の定義をヒアリングし、共有します。企業規模や時期、予算規模など細かく確認します。また、この依頼のゴールが何かも確認しておきましょう。この事例を活用してクライアントに提案したいのか、あくまでクライアントの情報収集のためなのか、それによっても選定の基準は変わっていきます。ここがズレてしまうと、加点ポイントなど程遠いことになってしまいます。

 

③アウトプットの形式を決める


②で特に気をつけるべきことのひとつにアウトプットの形式(相手への提案、共有の方法)を決める、があります。よくアウトプット形式が想定と違ってトラブルになることが多々あるからです。事前に必ず言及し、明確に決めておきましょう。

例で言うと、他社事例はメールでのテキスト情報でいいのか、資料に起こすべきなのかを確認します。テキストで伝えたら、ほしいのは資料だったなんてトラブル事例は多くあります。

ただ、納期がタイトな場合、まずはテキストだけ暫定的に投げて後ほど資料を送るといったテクニックもありますが、これもすべて⑤に繋がることなので詳細は後述します。

 

④納期を調整する

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こちらも、②に付随することですが、相手の希望する納期がある場合はそれを叶えられるかどうかも確認します。希望に沿えればベスト、沿えない場合は最短でいつかを伝えましょう。ただ、注意が必要なのが、相手は往々にして「急ぎ」と言ってきます。それを言っているのが誰なのか、誰の希望なのかを確認しましょう。相手と同じ情報量を収集した上で、ゴールに向かう最善の方法を考えることが加点ポイントのコツです。逆に、できないことをできると言うのは減点ポイントになってしまいます。必要なことは、無理しない範囲で最大限善処することができ、相手に自分と同じ感覚(なぜこの納期になってしまうのか、どれくらいの作業量がそこにあるのか、など)を植え付けること。これが合理的な理由であれば、納期の調整で減点ポイントになることはありません。

例で言うと、仮に急ぎと言われた場合、それは営業の都合なのか、はたまたその先のクライアントかを必ず確認をして、こちらも納期をしっかり伝えた上で調整しましょう。事例を探す工数や場合によっては自分の持っている業務量も伝えた上でスケジュールを協議していきましょう。その時に大事なのは相手を主語にして、配慮して話すことがコツです。これができれば納期を調整したうえで、加点ポイントの土壌が整います。

 

⑤「スピード(早く)」「正確に」「見栄え良く」で相手の期待を超える


ここまでで、依頼やタスクのゴールを共有し、アウトプットの形式と納期を調整しました。言わば、依頼主と同じイメージを共有できた状況です。そしてここからが加点ポイントを得るために最も重要な点です。そのイメージを超える成果物を提供しましょう。

イメージを超えると聞くと大層な印象になりますが、答えはシンプルで、その約束事をしっかり守ればいいのです。

  • 納期までに提出してくれた
  • 伝えていた通りの内容であげてくれた
  • とても見やすくわかりやすい成果物だ



共有したイメージ通りのものを提出できれば、加点ポイントを得やすくなります。ただ、それをより確実にするために必要な観点が「スピード(早く)」「正確に」「見栄え良く」です。

 

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「スピード(早く)」

「スピード(早く)」は加点ポイントに一番繋がりやすい観点です。取り決めたスケジュールよりも早めに納品します。そうすることで、この人は仕事が早いと思わせることができます。慣れてきたら、相談相手に対して余裕のあるスケジュールを提示したうえで早めに提出するなんていう高等テクニックも意識してみてもいいかもしれません。

 

また、これもテクニックですが、アウトプットの形式を段階的に提出するという方法もあります。先ほど、③で触れたやり方ですが、スケジュールがタイトで何かしら提出しなければならないとき、先に暫定情報を提出し、後から資料などで完成版を提出するやり方です。とかく、「スピード(早く)」は加点ポイントに繋げやすい観点です。

「正確に」

続いて、「正確に」は相手とすり合わせた共通イメージ通りに提出することです。これがズレてしまうと、加点ポイントになり得ない難しい観点ではありますが、逆にしっかりと相手の求めるもの(もしくはそれ以上)を提出できれば、相手に仕事が丁寧、しっかり責任をもってやってくれるという印象を与えられます。

また、先ほどの「スピード(早く)」と組み合わせることで正確さを向上させることができます。

どんなに相手とイメージを共有できたとしても、実際の成果物を見た際には、これが足りない、もっとこれがほしいとなるものです。そうなると正確さの観点で見劣りしてしまうので、早めに提出することを心がけましょう。スケジュールに余裕を残し、修正対応などに当てることで正確さを担保し、納期も守ることができます。

「正確さ」は加点ポイントを得るためには必須の観点なので疎かにせず、しっかりと対応しましょう。

「見栄え良く」

最後の「見栄え良く」は先の2つの観点に比べるとマストではないですが、マスターすると、この人の資料は綺麗だ、わかりやすいという印象を与えることができ、加点ポイントに繋がります。

ただ、まずこの観点を意識したいという方は、優先順位は「スピード(早く)」「正確に」です。その上で、正確性を担保する意味でも慣れてきたら「見栄え良く」も上乗せしていきましょう。

 

仕事をしやすいと思われることが信頼関係獲得に

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この人と仕事がしやすい、良い仕事ができると思わせることが加点ポイントとなり、相手に蓄積されていきます。その評価は伝播し、周りも業務をお願いするようになってきます。

ただ、これは一朝一夕でできるものではありません。日々の業務の積み重ねの上に成り立ちます。

先ほど伝えた手順はあくまで一つのフレームワークです。本質は、当たり前のことを当たり前のようにやること。相手が望むことに対して、内容を把握して約束事を守ることです。

これが習慣化できれば、仕事が仕事を呼び、あなたの評価やブランドは確立していくことになるでしょう。僕のフレームワークがあなたの日々の業務の参考になれば幸いです。

 

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【ただの旅行記】航空券・ホテル手配のみで行くドイツ旅行(フランクフルト編)

こんにちは、飛んではやぶさ君です。新章ドイツ旅行の記事をアップしました。旅行の行き先で悩んでいる方、ぜひ参考にしてみてください。

 

海外航空券は旅工房

 

 

2012/2/11~18


今回も年に一度の仕事の長期休みを使って、行ってきましたドイツ。目指すはオーストリア国境付近、フュッセンにあるノイシュヴァンシュタイン城。ディズニーランドのシンデレラ城のモデルにもなったこの場所を最終目的地として、 男ふたりの列車の旅が始まります。

1週間、全6都市を巡った旅の模様は下記のように書いていきます。

●プロローグ

●フランクフルト編

★ケルン編

★ヴュルツブルグ編

●ローテンブルグ編

フュッセン

ミュンヘン~フランクフルト編

★…世界遺産あり


ドイツと言えば、グリム童話発祥の地。
実は、グリム童話の初版は、子ども向けではない残酷さや猥せつさでわずか900部しか出版されなかったそうです。読者を意識し、加筆・修正を加えたものが今日のグリム童話になったようで、調べてみると意外と面白いことが満載でした。

 

「白雪姫」

◇白雪姫を殺そうとリンゴ売りに化けた王妃は、最後白雪姫と王子の結婚披露宴で、真っ赤に焼けた鉄の靴を履かされ、死ぬまで踊らされた。
◇白雪姫を助けるのは、7人の小人ではなく、7人の人殺しだった。
◇王子は死体愛好家とされ、毒リンゴを食べて死んだ白雪姫を、死体でもいいからともらい受ける。

※参考HP http://commonpost.boo.jp/?p=269

 

2/11 フランクフルト到着!初日32時間での街散策

 

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12時間のフライトは意外と早く感じた。飛行機から降りて、壁の隙間から流れてくる冷たい空気で、ようやくここが日本でないことがわかった。

 

時差8時間、日本であればすでに22時が過ぎているころだが、ドイツは14時。ずっと太陽を追いかけてきたので至極当然なのだが、まだ明るい。今日がまだ10時間以上もあると思うと、疲れは増しそうだが、そこはなんとか異国の地に降り立ったテンションでカバーする。

 

驚いたのは、去年クロアチア旅行の際に経由したドイツ。そこで押された入国の印と今回のハンコがまったく同じ日付、2月11日になっていたことだ。入国の際に、すでに入国しているじゃないか、とスタッフに言われて最初まったく理解できなかったが、どうやら日付部分だけを見て勘違いされたようだ。丸一年ぶりのドイツだったとは、しばらくパスポートを見ながらニヤニヤしてしまった。

 

私たちは、荷物を受け取り、意気揚々とドイツの地を踏んだ。


「あ、Nさんホントに来たんですね」


空港を出ると、日本人らしい小柄でかわいい女の子がいた。私はそのまま横目で通過しようとしたところで、相方のNくんが話しかけた。

「ひさびさ…でもないか、年末会ったもんね。ありがとう、来てくれて。」


Nくんが古くからの級友に会うかのように話しかけるのを聞いて、この子(以後、Aさん)がNくんのドイツに住む友だちだということがわかった。挨拶を済ませて、早速移動することに。

 

AさんはNくんの学生時代のバイト先の後輩。フランクフルトから200kmほど北上したデュッセルドルフというところに住んでいて、今回は仕事でたまたまこちらに来ているので、土日の休みを割いて私たちのためにドイツを案内してくれるというのだ。とても明るく、よくしゃべり…と思いきや、ときにふと影が入る不思議なマイペース女子だとわかるのは、これから2日間行動をともにした後であった。

 

私たちは、挨拶もほどほどに空港から市街地に入るために地下鉄に移動することにした。

 

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フランクフルトの市内を走る電車は、おもにU BahnとS Bahnに分かれる。U Bahn(ウーバーン)は地下鉄で、S Bahn(エスバーン)は都市近郊電車。大きな都市の公共機関は、大抵このふたつで成り立つ。

私たちは、右も左もわからないまま、ましてやドイツ語など…という状態で、気付けばS Bahnに乗り、3駅先。フランクフルトのHauptbahnhof(ハウプトバーンホ―フ)、つまり中央駅を目指した。

驚いたのは、空港から中心地までのその近さ。成田空港に向かうときを比べると、利便性に歴然の差があった。時間にして15分ほど。空港に着けてしまうその便利さに、日本の成田空港を利用する外国人の煩わしさを感じずにはいられなかった。日本に、ハブ空港で代表されるフランクフルト空港並の機能があれば、きっと経済や政治にも良い影響を与えるのだろうな、などと今振り返ると考えることができる。これも日記を書くメリットか。

話は脱線したが、電車は脱線することもなく、無事に中央駅に到着した。

 

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中央駅は、まるで大きなドームのよう。高い天井にはアーチ状の鉄骨が編まれ、年期の入ったレンガの壁がいい味を出している。いくつにも並ぶ○○番線の表示と見渡す限り長く伸びるホームの列。屋内だと思いきや、正面口から入ってくる冷たい空気は、ホームの先まで流れていく。忙しなく行き交う人々とその喧騒が、改めてここがドイツであることを教えてくれた。

私たちは、Aさんに案内されるまま日本で予約したユースホステルへと向かうことにした。

 

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このユースホステルの名前は「Five Elements Hostel Frankfurt」。ダブルルーム・ダブルベッド・バストイレ別・暖房付きで、日本から予約した手数料を含め、ひとり一泊\7,000を切る程度だった。ロビーでは、コーヒーなどドリンク飲み放題、Wi-Fiインターネットも無料で、思った以上の快適な時間を過ごすことができた。

日本での予約の話に戻るが、フランクフルトのホテルをエイチアイエスで調べてもらうと、ほとんどが一泊\10,000を超えてしまう高価なところがほとんどだった。安価なものは、郊外か、空港近くになってしまうので、中心地を拠点に旅をするには少し不向き。ホテル代は安く抑えたかったので、ホテルは断念し、結局自分で探すことにした。

ドイツは、ユースホステル発祥の地らしく、その数は各地に膨大にあるそうで、最近では日本からでも比較的安く押さえられるHPなども充実しているので、この場を借りて少し紹介しておこうと思う。


■ブッキングドットコム(http://www.booking.com/

■ホテルズドットコム(http://jp.hotels.com/

■エクスぺディア(http://www.expedia.co.jp/


今回利用したのは、ブッキングドットコムがメインで、各HPで差がわかるほどは使いこまなかったが、個人でホテルを手配する術としては、知っておいて損はないはずだ。私もそこまで詳しくはないが、誰かの旅行の参考なってくれればこれ以上ありがたい話はない。

 

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さて、またも話は脱線したが、旅の話を続けたい。

 

Aさんのおかげで、部屋のチェックインも済み(とても流暢なドイツ語に面を食らったのが正直な感想)、キャリーバックを置いて早々に部屋を出た。

 

ようやく身軽になって、改めてドイツの寒さに驚いた。ある程度の準備をして、ニットの帽子、上下のヒートテックに、マフラー、ダウン。かなりの防寒対策は打ってきたつもりだったが、フランクフルトの空気はそれを凌駕する冷え込みだった。最高気温はマイナス2度。肌を露出すると、痛みが走る感覚はなかなかに新鮮だった。

 

と思いきや、東京の冬にもときどき見かける、その格好はないだろうという半袖のドイツ人が横を通ったりする。どの国にも常に自分の限界に挑む人類はいるのだなと感心しながら、私たちは、トラム(路面電車)に乗り、フランクフルトの観光スポットに向かうことにした。時計はすでに、16時を回ろうとしていた。

 

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EU諸国の金融対策を担う欧州中央銀行本店のユーロ・タワーを横目にしばらくすると、私たちはレーマー広場に到着した。初ヨーロッパ旅行のNくんは見るものすべてが新鮮だったようで、ここに着いたときの驚きようは印象に残っている。

 

レーマーとはローマ人の意で、神聖ローマ帝国皇帝の戴冠式があったなど、歴史的にも重要な拠点であったようだ。現代では、クリスマスが近づくとマーケットが催され、数多くの観光客で溢れかえるらしい。

 

私たちが到着すると、ほとんどと言っていいほど人がいなかった。すでに日も暮れはじめたので、人気のなさは余計に肌寒さに拍車をかける。でもせっかくなので、中央の噴水からぐるっと一周り、中世の異国情緒溢れる建物を見てみた。自然とテンションの上がる自分に、やはりヨーロッパの街並み、建物が好きなのだなと再確認。日本時間からすると、すでに深夜にも関わらず、より一層元気になる私がいた。

 

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その後、広場から少し奥まった大聖堂に訪問し、寒さに耐えきれず、カフェに入ることにした。

 

カフェの中はとても温かく、全身の張りつめた筋肉の緊張が一気にほどけるような感覚だった。コーヒーとアップルパイのようなものをオーダー。このアップルパイのようなものが本当においしくて、あっと言う間に3人で平らげてしまった。気付くと暗くなる街並みを見ながら、会話はAさんの仕事の悩みへ。Nくんがいろいろヒアリングしながら、解決の糸口を探す。それをただただ聞きながら、時に参戦しながら、時間は過ぎていった。

 

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随分とおしゃべりをしたので、お腹も頃合いか。3人はピリピリと痛い空気の中に戻ると、一目散に先ほどのレーマー広場に。街灯のオレンジ色に温かみを感じながらも、それ以上の寒さに負けてしまいそうだった私たちは、どうにかカラダを動かしながら、ときに奇声を発しながら、地球の歩き方を頼りに夕食のレストランに入ることにした。

 

土地柄、観光客用であろうか。店内はかなりオシャレで、レトロなインテリアと木目調の壁、テーブルがいい味を出していた。まずは、ドイツに来たのだから、ということでビールをオーダー。口当たりがさっぱりしていて飲みやすい。そしたら次はソーセージだろう、ということで、オムレツやカツレツと一緒に注文。これもまた旨い。ソーセージは噛むと肉汁がじゅわっと出てくる、まさに肉を食べている感覚。やはり日本で食べるものとは、ジューシーさが違った。

 

さらに、トッピングのザウアークラウト(キャベツの漬物)も美味しかった。肉のこってりから少し口直ししたいというときに、あの酸味がちょうどいいのだ。ヨーロッパではあまり野菜は食べられないと思い、この漬物を意識的に口に頬張った。

 

8時を回ったころにはもうお腹も一杯。まぶたの重みに耐えきれなくなって全滅しかけるところだったので、早々に会計を済ませ、駅前のユースホステルへ戻ることにした。相変わらず外は寒いが、ただそれで眠気が覚めるわけでもない。寒いし、眠いという欲求を満たしてくれる温かいベッドに向けて、生者に群がるゾンビのようにどうにかこうにか部屋に戻ることに成功した。

 

初日は8時間の時差を加えて、計32時間あった。長く濃い一日は、ドイツの幕開けとしては上々だった気がする。そんなこんなで、夜は更け、また次の街が私たちを待つ。

 

 

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長文・駄文を読んでくれた方、ありがとうございました。次は、ケルンのお話です。

 

海外旅行の手配はコチラから

海外旅行の醍醐味の一つに、自分で旅をしている感。地図を見ながら自分で決めて進んでいる感があると思っています。このドイツの旅でその充実感を日々感じていました。もしあなたが旅行に行きたい、新しい感性に触れたいということであればぜひ航空券を手配して計画してみるのはいかがでしょうか。

 

海外旅行の手配はこちらからぜひご覧ください。

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【ただの旅行記】航空券・ホテル手配のみで行くドイツ旅行(プロローグ)

こんにちは、飛んではやぶさ君です。新章ドイツ旅行の記事をアップしました。旅行の行き先で悩んでいる方、ぜひ参考にしてみてください。

 

海外航空券は旅工房

 

 

2012/2/11~18


今回も年に一度の仕事の長期休みを使って、行ってきましたドイツ。目指すはオーストリア国境付近、フュッセンにあるノイシュヴァンシュタイン城。ディズニーランドのシンデレラ城のモデルにもなったこの場所を最終目的地として、 男ふたりの列車の旅が始まります。

1週間、全6都市を巡った旅の模様は下記のように書いていきます。

●プロローグ

●フランクフルト編

★ケルン編

★ヴュルツブルグ編

●ローテンブルグ編

フュッセン

ミュンヘン~フランクフルト編

★…世界遺産あり


ドイツと言えば、グリム童話発祥の地。
実は、グリム童話の初版は、子ども向けではない残酷さや猥せつさでわずか900部しか出版されなかったそうです。読者を意識し、加筆・修正を加えたものが今日のグリム童話になったようで、調べてみると意外と面白いことが満載でした。

その一部をこのコーナーでご紹介。

赤ずきん

◇元の民話では、赤ずきんが騙されておばあさんの血と肉を、ワインと干し肉として食べるシーンがある。
赤ずきんが着ている服を一枚一枚脱いでは暖炉に放り込むというシーンがある。
◇猟師を話の中に登場させ、赤ずきんを食べた狼を撃ち殺させた。だが、赤ずきんは食べられたきり、救出されない。

※参考HP http://commonpost.boo.jp/?p=269



プロローグ

今年も海外旅行がしたい。

 

そんなことを漠然と考えながら、僕は日々の仕事に追われていました。早いもので、前回のクロアチア旅行から1年が過ぎて、正直、猛烈に行きたい場所もありませんでした。次は、アジアかなと思いつつ、インドやカンボジアの案内誌を読みながら、どうにも悶々としていました。相談に伺ったエイチアイエスのスタッフも留学生かなにかだったのか、僕の“孫の手”的存在にはなってくれませんでした。

そして同時並行で、いつもの相方探し。今回は、同期のNくんを抜擢。最初は冗談半分で一緒に行こうと言っていましたが、年が明けて、日程が迫ってきた焦りからようやく本腰を入れて計画を練り始めました。

このころ、スリランカの「シギリアロック」という世界遺産に見惚れ、そこに行きたい願望が醸成されていましたが、相方Nくんは、アジアは腹が壊れるからとこの申し出を却下。正直、これがふたりで海外に行くことの弊害か、と思いながらも、彼が一度も訪れたことのないヨーロッパ方面で今回の目的地を探すことになりました。

結局、2番目に挙がった候補地トルコは、ツアーの出発日と休暇が合わずに却下。そして紆余曲折を経て決まったのは、EU加盟国では最大の経済力を持つ国、格安航空券が手に入ったドイツとなりました。

そんなこんなで、あっと言う間に旅行前日。毎回のことですが、仕事でバタバタしていて、直前まで、いやむしろ現地に着くまで、海外旅行に行く感じがしないのはなぜでしょうか。あなたもそんな経験はありますか。今回もまた、僕のそんな気持ちはお構いなしに話は始まります。



2/11 日本 成田空港まで

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「あぁ…」

Nくんと待ち合わせをしていた日暮里駅で、言葉にならない溜息が漏れていました。いきなりテンションダダ下がりの僕に、Nくんがどうしたのかと聞くのは当然の流れでした。

「やっちまった。カメラの充電器を家に置いてきた…」


旅行がしたいのか、写真を撮りに行きたいのか。両天秤にもかけられないほどの大目的のひとつが、今目の前で消えようとしていました。当然取りに帰る時間はありません。成田に向かう電車内、自分でも驚くほど、気持ちは目的地とは逆方面に向いていました。

成田空港に着くと、チェックインカウンターには長蛇の列。早々に発券し、キャリーバックを預けます。手荷物検査の前にはかなりの列が連なっているため、搭乗まで時間はさほどないことがわかります。ただ、そのゲートを通過する前にやることは山積み。ユーロへの両替を済ませ、各自足りない防寒グッズを買い揃えるため、ユニクロ無印良品に散りました。もう時間がないことはわかっていますが、プラス僕は電気屋2軒に立ち寄りました。

 

目的はもちろんデジカメの充電器を確保するため。ただ、両店舗ともに取り揃えてはいませんでした。僕のテンションは底を突き抜けさらに落ちていきます。もうダメか、僕がいよいよ難しいと諦めかけたその時、ゲート通過後の店舗にならあるかもしれないという情報が舞い込んできました。

 

そこに懸けるしかない。

 

僕は大急ぎでゲートを通過し、その店に向かいました。額からは汗。どれだけ必死だよ、と自分にツッコミを入れたいですが、この時の僕は真剣と書いてマジと読むほど、一心不乱にその店舗に向かっていました。その後の旅行のテンションを左右するまさに局面に立っていたのです。

相方Nくんは、その変貌ぶりに笑っていました。充電器を掲げ、笑顔で近づいてくる僕が相当に面白かったらしいのです。と言うのも、最後の頼みの綱、どの国にも属さない電気屋で、僕はまさに喉から手が出るほどにほしかった充電器を手に入れることができたからです。気付けばフライト15分前。僕の気持ちはようやく目的地ドイツに向くことができました。

ここでかかった思わぬ出費は、¥6,900。普段であれば、買うことをためらうであろう金額も「それください」の即答でした。非常事態と言うのは末恐ろしいものです。

その後は、何の憂いも感じることなく、快適なフライトを楽しんだことは言うまでもありません。搭乗の際に、手荷物を上のハッチにしまおうとして、その下の外国人に向かって落としてしまったなんて出来事は、これから待つまだ見ぬ世界と充電が可能になったカメラを持つ僕にとっては些細なことでした。

ただ、下手をすれば、そんなことでもまた気持ちは逆行してしまうかもしれない。僕は、ウサギを狩るのにも全力を尽くすライオンのように、その外国人に謝り倒しました。誠意は、両手を合わせて、申し訳なさそうな顔をするだけで、通じるものということを知っていたからです。

その外国人が、その直後に席を変えてもらっていたので、僕の誠意が伝わったかどうかは定かではありません。ふと窓を覗くと、白い雲海の上を飛行機はただただドイツに向けて飛んでいました。


長文・駄文を読んでいただき、ありがとうございました。次は、フランクフルトに到着します。

 

 

海外旅行の手配はコチラから

海外旅行の醍醐味の一つに、自分で旅をしている感。地図を見ながら自分で決めて進んでいる感があると思っています。このドイツの旅でその充実感を日々感じていました。もしあなたが旅行に行きたい、新しい感性に触れたいということであればぜひ航空券を手配して計画してみるのはいかがでしょうか。

 

海外旅行の手配はこちらからぜひご覧ください。

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【ただの旅行記】航空券・ホテル手配のみで行くクロアチア旅行(ドブロヴニク後編)

こんにちは、飛んではやぶさ君です。前回に引き続き旅行の記事をアップしました。旅行の行き先で悩んでいる方、ぜひ参考にしてみてください。

 

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2011/2/5~2/12

 

 

年に一度の仕事の長期休みを使って、念願だったクロアチアに行ってきました。目指すは、クロアチア最南端のドブロヴニクという世界遺産。あの「魔女の宅急便」のモデルとなった街を最終目的地として、男ふたりの珍道中が始まります。全5都市を巡った旅行の模様を書いていきます。

 

●首都ザグレブ編

★プリトヴィッチェ編

●ザダル編

★スプリット編

★ドブロヴニク前編

★ドブロヴニク後編


★…世界遺産


それじゃあ今回が最終回なので、最後にふさわしいセリフでいきましょう。

「落ち込んだりもしたけれど私は元気です。」(キキ)

 


2/10 スルジ山&城壁から見るドブロヴニク


気付けば、この旅も残りわずか。次の日は朝一で空港に向かうので、実質この日がフルに動ける最終日となります。

 

朝7時頃に起きると、まだ肌寒く、太陽の光が部屋に差し込むまではまだまだ時間がかかりそうでした。起ききれない身体に鞭を打って、顔を洗って準備を始めました。

 

ドブロヴニクの町並みを山の頂から見るというこの日のプランは、この旅の最後にして最大のお楽しみ。まさにメインディッシュの中のメインディッシュと言えるイベントでした。寝付けなかった昨日の睡眠不足もなんのその、テキパキと準備を終えました。

 

 

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朝8時に宿を出て、すぐそばのバス停に向かいました。前日は歩いて旧市街地まで向かいましたが、時間がかかるので路線バスを使うことに決めていました。まずは朝ご飯を食べるため、僕たちは旧市街地に向かいます。

 

金曜日だったこの日、出勤前のスーツ姿の男性何名かがバスを待っていました。キヨスクでバスチケットを買っていると、タイミングが悪いことにちょうどバスが。焦っても後の祭り、バスを乗り過ごした僕らはまだ日の当らないバス停で30分ほど待つことになってしまいました。

 

ようやく乗れたバスには、ドブロヴニクのサラリーマンやOL、学生が乗り合いながら進みます。あっという間に旧市街地の玄関口、ペレ門が見えてきました。

 

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旧市街地に入ると、町の中心を伸びるプラツァ通りの開けた景色と朝の空気と相まって清々しい空間が迎えてくれました。目の前には空と建物だけで、それを遮る人はほとんどいません。動いているのは、ハトくらいなもの。青と白が織りなす奥ゆきのある景色に心が洗われるような感覚でした。通りを歩いている頃には、太陽は見上げる位置にあり、風も少し強くなっていました。

 

前日に寄ったカフェが朝食もやっていることを知っていた僕たちは、せっかくなら世界遺産で朝食を食べたい、ということでそこに向かいました。オープンテラスのテーブルに座り、朝食セットをオーダー。腹ペコの僕たちは景色を見ながら、トーストとオムレツが焼かれるのを待ちました。

 

オレンジジュースを飲んでいると、寒空に湯気を立てたトーストとオムレツがやってきました。クロアチアに来てからこのふたつにハズレはありません。僕たちは待ってましたと言わんばかりに、サクサクとしたトーストにバターやチーズを乗せて頬張りました。

 

「うまい…」

 

続けて、中にサイコロサイズのハムが入っているオムレツもいただきました。

 

「間違いない…」

 

自然と笑顔になった僕たちはご満悦。あっと言う間に平らげて、のんびりしたい気持ちを押さえながら、目的地「スルジ山」に向かうことにしました。

 

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ガイドブック曰く、スルジ山にはタクシーで行くか、ケーブルカーに乗るように書かれており、登山は無謀だとありました。ただ、僕たちはそんな自然を体感できる場所があるなら、自分の足で登るべきだと意見が一致。トレッキングシューズの機能を最大限活用し、412mの山を登ることにしました。

 

旧市街地を出ると、まずスルジ山の頂は目視で確認ができます。頂上にある十字架が目印になるので、僕たちはそれを目指して登山口まで歩き出しました。途中、同じくスルジ山登山のために歩くお婆さん出会いました。同じ方向ということもあって案内をしてくれることになり、すぐに山道の入口まで来ることができました。ただ、たどり着く手前からの上り坂と階段、上空からは太陽が燦燦と照らすのもあって、すでに汗が滲んでいました。ようやくスタートラインに立ったというのに、これは先が思いやられる、そう思っていました。

 

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山道の入口でお婆さんは「先に行ってください」というジェスチャーをしたので、僕たちはお別れを伝え、歩き始めました。それまでアスファルトや石段だった道は、土と小石に変わりました。太陽の光は木々の緑に反射して、木漏れ日と青々とした匂いを生んでいます。それらを全身に浴びながら、僕らは頂上を目指しました。

 

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登山道は、山の斜面をジグザグと這っていました。どうやら頂上の十字架を最後にして、ナンバリングされた十字架が登山道の途中途中に置いてあるようでした。一定の距離を登るごとに目印のように置かれていました。また、登山口付近こそ背の高い樹木が生い茂っていましたが、登っていくとすぐに草本類だけが生える見渡しの良い景色へと変わっていきました。

 

さて、お婆さんよりも先行して意気揚々と歩いていた僕たちでしたが、最初のコーナーに差し掛かった時点で、僕らの足は止まってしまっていました。理由は、本当に暑いからです。照りつける太陽と斜面を歩いたことで、すでに汗だく。背中に汗がしたたり、衣服にくっついてました。まさかここまでとは思わず、半袖を着てこなかったことを後悔。とりあえずダウンコートや上着など着ていられないので、全部脱いで、タオルと水を片手に再出発することにしました。

 

ちなみに、お婆さんにはとっくに抜かれてしまい、はるか先を軽快に登っていました。蛇行する山道を下から見上げるとその姿は豆粒のよう。若者の意地など、見せることもできないほど離されていました。

 

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眼下にはドブロヴニクのオレンジがチラチラと見えます。頂上までその眺望を取っておきたいもののどうしても強制的に視界に入ってしまいます。

 

僕たちはその景色に魅せられ、登山はカメの歩みになってしまいました。少し登っては写真を撮り、また少し登ったら写真を撮ります。頂上などはるか先で、お婆さんはおそらくもう着いてしまったのではないか、と思うほど僕らはゆっくりゆっくり歩いていました。

 

ただ、そこには本当にいくらいても飽きないくらいの景色がありました。何度も何度も振り返りながら、先に進むとまた新たな一面を覗かせる、その繰り返しに私たちは心打たれていました。

 

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登り始めて2時間が経過した頃、ようやく頂上の十字架の正確な大きさがわかるところまできました。頂上の十字架は他のそれと比べて断然大きかったのです。すでにお互いの会話も減って、ただただ足を出していたタイミングだったので、あと僅かの距離に気持ちが少し楽になりました。

 

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頂上からの眺望は、文字通り、「アドリア海に浮かぶ真珠」でした。とても言葉では言い表せない風景が眼下いっぱいに広がっていました。僕たちは頂上まで登ってきた苦労もあって、お互いに言葉はあまりなく、ただただ呆然と目の前の景色を噛み締めていました。

 

アドリア海の碧さとドブロヴニクのオレンジ。それに水平線まで地球の弧を描いていました。心地の良い風が吹き、風が草をなぞる音しか聞こえません。まわりに人もほとんどおらず、僕たち二人だけでこの景色を独り占めしていました。とても贅沢な時間でした。

 

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景色を堪能した僕たちは、頂上にある戦争の博物館に寄ることにしました。そこは、20年ほど前に起こっていたドブロヴニクを舞台にした紛争の歴史を展示している場所。建物は実際に当時砦として利用されていたもので、今でも弾痕などがところどころに残されていました。

 

一通り中を見て、外に出ました。すでに時間は12時を過ぎており、ロープウェイを使ってスルジ山を下りることにしました。もうひとつの目的「城壁からのドブロヴニク」を見るために、今一度旧市街地に戻る必要があったからです。僕たちはチケットを購入して、山を下りました。ロープウェイはあっという間で、戻るのに5分とかかりませんでした。登ってきた山道を横目に、登ってきたからこその達成感、優越感みたいなものを感じていました。

 

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すでに太陽は真上からじゃっかん西に傾き始めていました。さぁ、ここで待ちに待った昼ご飯…としたかったのですが、城壁は15時に完全に閉じてしまうということがあって、戻ってすぐに登る必要がありました。正直お腹は空いていましたが、チケットを50KN(1KN=約17円※当時)で購入して、城壁を登ることにしました。

 

急な階段を上ると、オレンジの屋根が所狭しと並ぶ風景が飛び込んできました。城壁は町の外側を囲んでいるのですが、反対側の城壁までは見ることはできない視界いっぱいに広がるほどの面積を有していました。スルジ山からは小さく見えた町もここからは大きく見えます。

 

その素晴らしい景色に、一瞬で疲れも吹っ飛びました。僕たちは、カメラを片手に城壁を反時計まわりに進むことにしました。

 

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少し進むと、クロアチアの国旗とドブロヴニクの旗が見えてきました。風になびいて空に映える様子に清々しさを覚えました。

 

町の外側を囲う城壁の最初の角を曲がると、目の前には階段が続く上り坂。通路を外側に少し乗り出してみると、城壁からすーっと下に伸びる崖が見えます。岩肌に波が打ちつける迫力満点の景色が広がります。思いのほか高い壁はないので、外側を覗き込むだけでかなり恐怖を覚えます。相方は壁に立ってふざけていましたが、僕としては心臓に悪いので本当にやめて欲しかったです。

 

そのまま階段を進むと、前日に歩いた迷路のような居住区を見下ろしていました。このあたりは空き地も多いのか、さほど住居がひしめき合っている印象はありませんでした。ただ、よくよく見てみると、瓦礫が積み上がっていたり、草木が好き放題生えて手入れが行き届いていない空き地があるなど、少し荒廃している印象でした。

 

城壁の上を歩いているので、開いた窓から家の中は丸見え。洗濯物は至るところで干され、子どもの遊ぶ声や犬の鳴き声が往来していました。

 

美味しそうなオレンジが、住宅の屋根に負けないくらいの橙で主張してくるので、思わずカメラを構えてパシャリ。奥の洗濯物が生活感を演出した、個人的にはお気に入りの1枚を撮ることができました。

 

 

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また少し進んでいると、周りに聞かれると恥ずかしいくらいにお腹が鳴りました。朝はトーストと卵焼き、すでに時計は2時を刺そうとしている頃なので、このボリュームは致し方ありません。僕は、スプリットで買った板チョコがあるのを思い出し、休憩がてらそれを半分に割って、相方と一緒に頬張りました。

 

城壁の壁に座り、ふと見上げると、カモメが気持ちよさそうに飛んでいました。

 

「鳥になりたい…。そしたらこの景色ってスゴイんだろうな…」


カモメは通り過ぎ、青い空にピントを合わせながら僕はしばらく現実逃避。10分ほど休憩し、再度重い腰を上げました。地図で見ると、まだ全長の1/3ほどしか進んでいないことに気づき、少しペースを上げることにしました。

 

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ちょうど登ってきた城壁の対面にやってきました。そこにはスタッフがいて、チケットをチェックしていました。スタッフはカップルだったのか、僕たちが来るまで人目をはばからず、イチャイチャしていました。今はオフシーズンなので、観光客も来ないのでしょうか。

 

「仕事をしろ…気まずいだろうが…」

 

と思いながら冷たい目線を送っていました。

 

3つ目の角を曲がると、また少し階段を登って、ちょうどオレンジの木があった場所の反対側に差し掛かりました。またしても素晴らしい景色が僕の目を奪います。橙色の屋根が並ぶのは変わらないですが、町をさらに俯瞰して見ることができるので、また違った印象を受けます。隙間なく雑然と並んでいるようで、それが一つの図形のような屋根屋根を少し上から臨むことはそうそうありません。これ以上はうまく説明はできないので、雰囲気は写真からくみ取ってもらえると助かります。

 

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4番目、最後の角には城壁では一番高い見晴台がありました。円柱形の石筒の中に入り、狭い鉄の階段を登ると、頂上に出ました。そこから見える景色は、これまでの疲れを一気に吹き飛ばしてくれるほどのものでした。

 

町すべてを俯瞰できるのはここだけ。これまでよりも見晴台の高さの分、ワンサイズ小さくなった町並み。ただ、目を凝らせば、あの家の洗濯物やこの家の軒先の鉢上など、細部まで見ることができます。スルジ山とはまた違う素晴らしい景色がそこには広がっていました。

 

しばらくの間、見晴台の上には僕たちしかいなかったので、思う存分写真を撮りました。この景色を独占しているみたいで嬉しかったのを覚えています。ずっと見ていても飽きない景色は、僕にこのクロアチア旅行を振り返させました。当初ハードルが高いと思っていた個人旅行も、意外といけるもの。できないと思っていたことも、最初の一歩次第でなんとでもなるんだなと改めて感じました。橙色一色の町は、僕の高揚感を表しているようでした。

 

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城壁から下りると、すでに3時を過ぎていました。町の中心に戻って、遅い昼飯をとることにしました。ここでもオーダーは海鮮料理。お腹が減っていた僕たちは、無言で食べ続けました。朝から登山に、城壁に、バタバタがようやく一息。目的を達成した安堵感からなのか、ご飯を食べた後には猛烈に眠気が襲ってきました。ビルの陰のテラス席は少し寒かったのもあって、すぐに動くことにしました。

 

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ドブロヴニク周辺唯一のビーチが山頂から見えたので、食後はそこに向かいました。人はほとんどおらず、傾きかけている太陽と波の音を聞きながら、ただただ呆けていました。

 

「もうすぐこの旅も終わりかぁ…」

 

感慨にふけるには浜辺は絶好の場所です。

 

 

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クロアチアに来ていろいろ郷土料理は食べたけど、スイーツは食べてないよな。」

 

そんな話からカフェに向かいました。

 

ひとつが、クレムシュニテという名物ケーキ。もちもちした食感で、しつこくない甘さが美味しかったですが、ひとつ丸々は多くすぐお腹いっぱいになりました。


もう一つはバナナスプリットというボリューム満点の一品でした。バナナの上に、ホイップクリームとアイスがてんこ盛りで、美味しかったは美味しかったのですが、これはさすがにオーダーを後悔。お腹が破裂しそうでした。

 

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それにしてもこの町は本当に猫が多いです。

 

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お土産を買いながらブラブラしていると、あたりはすっかり暗くなってきました。時間はまだ6時過ぎでお腹もあまり空いていませんでしたが、夕食をとることにしました。せっかく最後の晩餐なら、食べたいものを食べるべきだと意気込み、旧港に隣接するロカンダ・ペシュカリヤというレストランに入りました。

 

旧港は昨日と変わらずキレイな夜景。そこのテラス席に座って、ビールとイカのフライ、イカ墨のリゾットをオーダーしました。


料理を待っているとそこらから猫が集まってきました。ここに来れば、おこぼれをもらえるんじゃないかと味をしめているようでした。猫と戯れ、夜景を見ながら、そして旅のことを思い返しながら、世界遺産での最後の食事を楽しみました。これもまたとても美味しいご飯でした。

 

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帰りは、宿まで歩いて帰ることにしました。前の日は暗くて不安だと思っていた帰り道は、この時はまったく恐くありませんでした。約15分ほどの道を2人で妙なテンションで歩いていました。きっと時間と体力がある今しかできないことをしている、という達成感と高揚感があったからだと思います。

 

「おそらく今後、二度と同じ道を歩くことはない。」

 

 

会話の中のそのセリフが頭の中でリフレインしながら、僕は宿に続くこの道がずっと続けばいいと思っていました。

 

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次の日、朝5時に空港バスに乗り、7時の便でクロアチアを後にしました。


朝一の出発だったので、宿のお婆さんには会えないと思い、精一杯考えた英語の手紙を書きました。感謝の気持ちが少しでも伝わればと願いを込めて。

 

途中、4時間のトランジットがあったので、ドイツに入国してみました。パスポートに押された入国印が嬉しかったのを覚えています。フランクフルト空港はとても大きく、同じく日本に帰ろうとする旅行者もたくさんいました。

 

ただ、その中でクロアチアから帰路に着く人はいませんでした。マイノリティの優越感がなんともいい気分でした。


僕たちはこれから友達にはこう自慢したいと思います。


魔女の宅急便」のモデルとなった街のあるクロアチアはとても素晴らしい国。ぜひ一生に一度訪れてみてはいかがでしょうか。

 

クロアチア旅行はこれで最後です。読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

 

 

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海外旅行の醍醐味の一つに、自分で旅をしている感。地図を見ながら自分で決めて進んでいる感があると思っています。このクロアチアの旅でその充実感を日々感じていました。もしあなたが旅行に行きたい、新しい感性に触れたいということであればぜひ航空券を手配して計画してみるのはいかがでしょうか。

 

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【ただの旅行記】航空券・ホテル手配のみで行くクロアチア旅行(ドブロヴニク前編)

こんにちは、飛んではやぶさ君です。前回に引き続き旅行の記事をアップしました。旅行の行き先で悩んでいる方、ぜひ参考にしてみてください。

 

海外航空券は旅工房

 

 

2011/2/5~2/12

 

年に一度の仕事の長期休みを使って、念願だったクロアチアに行ってきました。目指すは、クロアチア最南端のドブロヴニクという世界遺産。あの「魔女の宅急便」のモデルとなった街を最終目的地として、男ふたりの珍道中が始まります。全5都市を巡った旅行の模様を書いていきます。

 

●首都ザグレブ編

★プリトヴィッチェ編

●ザダル編

★スプリット編

★ドブロヴニク前編

★ドブロヴニク後編


★…世界遺産


それではいってみましょう。

「 わたし、前は何も考えなくても飛べたの。でも今はどうやって飛べたのかわからなくなっちゃった。」(キキ)

「そういう時はじたばたするしかないよ。描いて描いて描きまくる。」(ウルスラ

「でも、やっぱり飛べなかったら?」(キキ)

「描くのをやめる。散歩したり 景色を見たり 昼寝をしたり・・・何もしない。そのうちに急に描きたくなるんだよ。」(ウルスラ

「なるかしら」(キキ)

「なるさ」(ウルスラ

 

2/9 ついに到着!アドリア海の真珠の街


気付けば、この旅もすでに5日目を迎えていました。普段朝の弱い僕もこの旅では本当に目覚めが良いことに驚いていました。この日も朝6時、ケータイのタイマーよりも5分早く起きました。

 

 

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まずは顔を洗って、スーツケースの中の荷物を整理します。8時出発のバスに乗るため、7時過ぎにプライベートルームを出ました。ポストに鍵を入れると、前日まで真っ暗だったスプリットの町が清々しく迎えてくれました。朝のラッシュアワーだからなのか、通勤・通学の人たちは少しだけ慌ただしい様子。サラリーマンが朝食を買っているベーカリーで、僕らはクロワッサンとコーラを買い、バスステーションへと向かいました。

 

この日は最終目的地であるドブロヴニクに向かう日。フルコースのメインディッシュが運ばれてくる直前のような楽しさと焦燥感の入り混じった気持ちが、沸いては消えていきます。バスの搭乗時間は、現地のガイドブックによると約4時間。地球の歩き方を見ると5時間以上かかると書いてありました。出発時点では早く着くのであればありがたいぐらいにしか思っていませんでしたが、結果約6時間程度はかかりました。みなさん、ご注意ください。

 

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バスはアドリア海の海岸線を進みます。途中、一度ボスニア・ヘルチェゴビナの領土を跨ぎ、またクロアチアに戻ってきます。地図を見ると、一か所だけラインが引かれ、国境があります。日本で読んだブログには、国境ではイカつい警官が乗ってきて、パスポートを見せなければならない、と書かれていました。

 

「パスポートに入国のスタンプ押されるかな」

 

そんな淡い期待を胸に、バスは進み続けました。

 

 

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ザダル~スプリット間のときと同じように、海岸線には素敵な景色が広がっていました。首都ザグレブの頃よりだいぶ南下してきたこともあり、とても暖かく、車内は長袖のTシャツを腕まくりするほどでした。

 

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11時青い看板が見えたころ、バスは止まりました。ボスニア・ヘルチェゴビナの国境付近に差し掛かったようでした。警官は想像していたよりも威圧的ではなかったですが、制服はとても格好良かったです。おっかなびっくりパスポートを出しましたが、さっと確認して、そのままバスを降りてしまいました。スタンプは押してもらえませんでした。残念な気持ちと一緒にバスは再び動き出しました。途中降りる方もいて、気付けば、最初に乗り合わせた10人ほどの乗客も半減していました。


ボスニア・ヘルチェゴビナに入りましたが、景色は何も変わりませんでした。海岸線にはオレンジ色を基調とした家々が建ち並び、時折見える看板はここ2~3日では見かけない文字が書かれていました。間違い探しのような気持ちで景色を見ていると、急にバスは止まりました。

 

運転手は「カフェオレブレイク」と言い放ち、運転席から出てしまいました。僕たちはなんとか聞き取れたものの、よく意味がわからず、相方と顔を見合わせます。少し考えてそれが休憩を取るという意味だとわかり、バスの外に出ることにしました。

 

地図を見るとまだルートの2/3ほど。気付けば出発から3時間以上経過していたので、気分転換も含めて外を散歩しました。休憩に寄ったのは、カフェやお土産屋が隣接している駐車場、日本の小さなパーキングエリアのような場所でした。宿泊施設のような建物もありましたが、オフシーズンのため営業はしていませんでした。太陽は真上に近づいていることもあって、軽く汗ばむほど。ダウンコートはまったく必要ありませんでした。

 

 

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お土産屋に寄ると探していたものが見つかりました。イチジクのジャムです。出発前に、友人からクロアチアはイチジクが有名らしいからお土産に買ってきてと言われていて、旅の間に探していました。厳密に言うと、ボスニア・ヘルチェゴビナで見つけることになるとはと思いながら、棚に近づいてみると見慣れた文字が飛び込んできました。

 

「おいしいジャムです!イチジクジャム ~ 」


おそらくツアー客がここに寄ってみんな買っていくことが伺えました。ひさびさの母国語に少しホッとしました。時間が迫っていたので、僕たちはジャムを購入してバスに戻ることにしました。少しすると、カフェオレブレイクを終えた運転手が戻ってきて、バスは出発しました。乗客はまた減って、僕たちと老夫婦だけになりました。

 

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再び国境付近。再度クロアチアの領土に入りますが、ここでは車が渋滞しており混みあっていました。再び警官が入ってきましたが、ここでもパスポートはサッと確認する程度。ボスニア・ヘルチェゴビナを後にしてバスは引き続きドブロヴニクを目指します。

 

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気付くと、眠ってしまいました。目を開けると、時刻は13時前。乗客は僕たち2名になっていました。窓際の席は相変わらず暑く、寝起きは最悪でした。まだ寝ぼけ眼の中、目的地に到着。荷物の準備もままならないまま、慌ただしく外に出ました。

 

外に出ると、心地よい風が吹いていました。それを身体全体に感じようとした瞬間、よぼよぼのお婆さんがものすごい剣幕で話しかけてきました。

 

「SOBEはどうだい?安いよ!」

 

寝ぼけていた僕は突然の状況に理解ができず、両手を前に出して言いました。

 

「Wait a minute!」

 

もう少しくらい外の余韻を感じさせてくれ、目を覚まさせてくれ、落ち着くまで待ってくれという意味で僕は言いました。伝わったのか、お婆さんはなんとか静まってくれました。ただ、僕らの準備が整い次第、すぐにでも勧誘できるという臨戦態勢でいることには変わりありませんでした。

 

とりあえず荷物を整理し、ガイドブックを見ることにしました。地図によると、今僕たちがいるバスステーションは街全体のだいぶ端に位置していました。空港へのバスもどうやらここから出ているようで、目的とするドブロヴニクの旧市街地へは少し歩かなければならないことがわかりました。

 

ようやく汗が引いて、頭が宿をとる思考に切り替わったところで、ふと目を配ると、よぼよぼお婆さんは待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべていました。第一印象と変わらず彼女の勧誘には勢いがあり、たじろぐばかりでした。いろいろと言われて詳細はともかく、要約するとこうでした。バスステーションのすぐ近くに彼女の家があり、プライベートルームとして開放しています。値段は一泊75KN(クーナ 1KN=約17円※当時)。日本人もたくさん泊まったこともあるし、シャワーもあるし、キッチンもあるから、泊まらないか、でした。

 

僕たちは迷っていました。日本に帰るまであと2泊。最終日は朝7時の便で帰るので、空港までのバスが出ているバスステーションに近いところに泊まるべきか、はたまた目的地である旧市街地の近くに泊まるべきか。結局、すぐの返答を求めてくるお婆さんの勢いに負けて、まずは部屋を見せてくれとお願いをし、部屋を見て判断することにしました。

 

お婆さんの家は、バスステーションの向かいにありました。想像以上に近いと思いました。お婆さんはしゃべり過ぎたのか、少し苦しそうでした。どうやら心臓があまり良くないらしく、無理をして必死に勧誘する姿に少し愛おしさを感じました。

 

門をくぐり、庭から2階に上がりました。見ると、共有スペースにキッチンとシャワーとトイレがあり、寝室が鍵付きのドアで3部屋ほどあるような間取りでした。僕たち以外泊まる人がいないようで、共有スペースは丸ごと使えるとお婆さんは言いました。部屋を一通り見た後でキッチンに通されると、お婆さんが切ったリンゴとジュースを出してくれました。お皿とコップが若干汚れていたのが気になったが、喉も乾いていたので気にせずいただきました。

 

座ってお婆さんといろいろ話しているうちに、もうここでいいかという気分になってきました。今からキャリーバックを引いて町中をあれこれ探すのも面倒ですし、時間がもったいないと思うようになりました。結局、彼女の術中に見事にハマり、僕らは観念し宿を決めたわけです。

 

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バスを降りてから、なんだか怒涛の時間が過ぎた感覚でした。部屋で少し呆けていましたが、宿も決まって時間は14時。時間も惜しいので、すぐに旧市街地に向けて出発することにしました。

 

旧市街地までは意外と距離があって、歩くと20分ほどかかりました。ただ、天気は良く、ポカポカした陽気。海沿いと少し丘陵になっている坂道が交互に現れます。アドリア海に反射する太陽の光や高い空の上の方を飛んでいるカモメ、点滅する信号、大きな松ぼっくりをつける街路樹、緑のオシャレなガードレールなど。まさに魔女の宅急便の町の中を彷彿とさせる景色が僕をワクワクさせていました。

 

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坂を上ってゆっくりと下っていくと、正面に路線バスが往来しているロータリーが見えてきました。その奥には、旧市街地の入口が威風堂々、そびえ建っていました。

 

(いよいよだ)

 

徐々に大きくなっていく入口。名前をピレ門と言い、町の守護聖人が飾られていました。門をくぐると、高い城壁がつくりだす日陰が僕らを覆います。少しだけひんやりしました。

 

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旧市街地に入ると、町を横断する大きな通りがすっと延びていました。一気に開けた視界と同じくらい僕の期待値も広がりを見せました。

 

(ついに来た、アドリア海の真珠、この旅最大の目的地)

 

目の前の景色に意気込んでいると、グーとお腹が鳴り出しました。相方と顔を見合わせて笑いました。“腹が減ってはドブロヴニクは探検できない”とはよく言うものなので、まずはレストランを探すことにしました。町の真ん中の通りを歩きながら探していると、おじさんが話しかけてきました。

 

「ランチをお探しなら、Ragusa2へどうぞ。今ならウェルカムドリンク付きで、10%オフですよ。」

 

お腹が減りすぎていた僕たちは即決。おじさんに案内されたレストランは、メインの通りから1ブロックほど入ったところにありました。僕らはオープンテラスに座ることにしました。

 

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オフシーズンなので観光客もまだらな中で、偶然にも先客の日本人がいました。4人家族で大阪から来ているとのことで、僕らと同じく、勧誘のおじさんに案内されてきたとのこと。お互い日本を出発した日も帰る日も同じということを知り、僕らは料理を待つ間軽く情報交換をしました。どういうルートを通ってきたのか、どのスポットが印象に残っているかなどを話しました。

 

そうこうしているうちに料理がやってきました。オーダーしたのは、タコのサラダとシーフードリゾット、海鮮の盛り合わせ。ドブロヴニクは漁港ということもあって、海の幸が新鮮で格別でした。一緒に頼んだ白ワインを片手に僕らはほろ酔いでいい気分になっていました。

 

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このレストランではもうひとつの出会いがありました。魔女の宅急便のジジを彷彿とさせる黒猫が僕らを出迎えてくれました。顔立ちは、賢そうでシャープ。人にも慣れているのか、僕らが横にいても構わずテラスの椅子で寝てしまいました。僕はこの黒猫に可愛らしさと同時に狡猾さを感じてました。性別はわかりませんでしたが、もしメスだったら、例えるなら何人もの男性を手玉にとる小悪魔のような女性だなと思いました。黒猫の写真を何枚か撮った僕らは、お腹も一杯になったので、町中探検に出発しました。

 

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ドブロヴニクは砦であり、町のすべてが城壁で囲まれています。その全長は1940mにもなり、城壁の一番高いところは25mにもなります。町を横断しているプラツァ通りは町の中でもグランドレベルが一番低く、横に延びるいくつも路地はすべて傾斜がついてる設計で、一つ路地を入ると迷路のようになっていました。

 

食後のアイスクリームを買った僕らは、旧港に向かいました。舟がいくつも並び、水は海底が見えるほど透明で綺麗でした。空にはカモメが飛び、猫がたくさんいました。酔った自分には海風と波の音がとても心地よく感じました。

 

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オフシーズンとはいえ、ドブロヴニクの旧市街地に着いたら観光客はたくさんいて、日本人にもたくさん会うだろうと思っていました。実際は、日本人どころか、アジア人もおらず、観光客すらまばらな感じでした。僕らとしては、ゆっくりと静かに観光ができて喜ばしいことでしたが、少し寂しさもありました。

 

この日は、城壁に登れる時間は過ぎてしまい、町中をひたすら探検することにしました。路地に入ると、昔ながらの石造りの住居が所狭しと軒を連ねていました。太陽も傾いてきて、日陰の中を僕らは進みます。暗い迷路のような町をあっち行ったりこっち行ったり。ときに個人宅の庭先まで上がってしまったり、行き止まりにぶつかったりしながら気の向くままに進みます。途中、遊んでいる子供たちや親子で手を繋いで嬉しそうにしている姿を見て、ここが平和な場所なんだなということが伝わってきました。人と同じくらい猫の姿を見かけました。でもあのレストランの黒猫ほどスマートな顔立ちの猫はいませんでした。

 

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町中探索を気の済むまでしたころには、太陽も沈み、プラツァ通りには光が灯りはじめていました。歩き疲れた僕たちは、カフェで休憩することにしました。空が青からだんだんと濃くなっていく様子を見ながら、町を行く人たちをなんとなく眺めていました。ゆっくりと流れる時間をコーヒーを飲みながら楽しんでいました。

 

30分ほどゆっくりした後には、通り沿いのお土産屋さんを見て回ることにしました。オフシーズンということもあって、1/3ほどのお店は営業していませんでした。僕らはお互いに誰に何を買うか、手持ちの残高がいくらかなどを計算しながら、お店を行脚しました。気づけば18時を過ぎていました。

 

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昼食を15時過ぎにとったこともあって、お腹は空いていませんでした。相談の結果、まだ通ってないルートで宿に戻って、途中で何か買おうかという話になりました。旧港の夜景が気になった僕らは寄ってみて驚きました。住宅と街灯が橙色の光を放ち、水面に跳ね返って幻想的な空間が生まれていました。絶句しながらも、気づいたら僕は何十枚も写真を撮っていました。

 

その後は城壁の外側を歩いて宿に戻ることにしました。真下から見上げるとまったく城壁など見えず、まるで切り立った崖のようにかなりの高低差がありました。上ばかり見て車道に出そうになりながら、ドブロヴニクの旧市街地の入り口、ピレ門に戻ってきました。

 

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バスロータリーは帰宅のために路線バスを待つ人々で賑わっていました。僕たちは、近くのスーパーに寄り、パンとヨーグルト、お酒を購入。徒歩で帰るのが恐かった僕らは路線バスに挑戦してみました。キヨスクでバスのチケットを買って、ガイドブックに書いてある番号のバスが来るまで10分ほど待ちました。ロータリーの列は帰宅の人々でドンドン伸びていきました。全員が乗れるのか不安になるくらい人が増えたところで、バスはやってきました。結果、乗るには乗れたましたが、日本のラッシュアワーのようにギュウギュウ。まわりは、アジア人が珍しいのか、ジロジロ見てきます。景色に目をやりながらも、四方からの視線に実際よりも窮屈さを感じました。

 

5分ほどで宿の近くのバスステーションまで戻ってきました。バスはやはり便利だったので、明日もバスを利用しようと思いながら、部屋に戻りました。安心したのか、僕らは着いてすぐに靴を脱いでベットに倒れこみました。


明日はいよいよ動ける最終日。旧市街地を上から見渡せるビュースポットに向かいます。買ったパンを頬張りながら、翌日の動きをシミュレーション。相方はさっさと寝てしまいましたが、僕は寝付けず12時くらいまで起きていました。


そういえば、宿を決める条件に、シャワーのお湯が出るかどうかをお婆さんに聞いていました。お婆さんは出ると言ったので、宿泊を決めたのですが、出たのは最初の一人分のみ。2日間の滞在でお湯が補給もされるわけもなく、やはりここでも寒い思いをすることになりました。プライベートルームを選ぶ際は、シャワーでお湯が出るかどうかを必ず聞くことを勧めます。それでもカバーできないこともありますが。

 

 

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次回は「【ただの旅行記】航空券・ホテル手配のみで行くクロアチア旅行(ドブロヴニク後編)」に書かせていただきます。ぜひ最後までお付き合いください。

 

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